おまつクソブログ第1話(最終回)

あのまっちゃんによる日記のよーなもの。

そしていつまで帽子を被るつもりだ

この前、1人で立ち飲み屋に行ってきた。

 

結構俺は1人で飲み屋に行ったりする。最初はちょっと抵抗あったけど、最近は手慣れてきた。

1人で飲み屋なんか行って、自分に酔ってるサブイ奴やんそれ?って思う人もいると思うが、それが全くその通りだからなにも文句を言えない。

 

飲み屋に入りビールと自分に酔ってると、酔っ払いのおじちゃんが入店してきた。

ちょうど俺の左隣に案内された。

 

おじちゃんはどうやら常連らしい。店の人や、顔見知りっぽいお客さん達と挨拶を交わしている。

隣にその常連が来たもんだからみんなの視線がこっちに向いて、食べづらいなーなんて思ってたら、左の方からすごい視線を感じた。

見てる。おじちゃんめっちゃこっち見てる。

これ俺に喋り掛ける隙をうかがってるやつや。

それを察した俺は、もういっそ自分から話しかけようと思った。

 

俺がおじちゃんの方を向き「よく来るんですか?」って言おうとしたら、俺がおじちゃんの方を向いた瞬間に、ノーモーションで「お兄ちゃん、オシャレやなぁ」と喋り掛けられた。

一瞬の出来事だった。

 

少し戸惑ってから「あ、ありがとうございます」と返すと、

「ちょっとその帽子被らして」と言われた。

なぜ??と思いながらも俺は被ってた帽子を渡した。

すると「お兄ちゃんお酒好きやろ?でも酒は怖いで。酒はええけどなぁ、山口達也みたいになったらあかんで」と笑いながら言ってきた。

もう話しが四方八方に行っている。

この人は相手の心に入り込んで、ナチュラルに人の帽子を奪い取る妖怪なのかもしれない。

 

俺は、帽子についてのコメントが少しも出ないことについて疑問に思いながら、とりあえずなんか答えないとと思って「まぁねー、でも顔は山口達也みたいになりたいっすけどねー笑笑」と返した。

俺の中では満足の返しができた。

戸惑いながら出した、誰も傷つけない粋な冗談。

まぁ笑うまでは行かんけど、うまいこと言いよるなくらいの反応を期待して、若干のドヤ顔をしておじちゃんの顔を見た。

 

小声で「んんっ…んんっ…」と漏らしているおじちゃんは、ハマチのお造りに夢中で全然聞いてなかった。

人生で一番ハマチに嫉妬した日だった。